でんしゃがはしる

『くるくるまわる』

遊び

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山本忠敬

子どもの頃、おふくろやおやじの手造りのおもちゃで、よく遊んだ記憶が、今でもほのぼのとした暖かさで心に残っている。
九月の嵐のあくる日、空はスカッと晴れて名残りの強風が落葉と舞う一本道を、手造りのかざぐるまを持って走る。かざぐるまが回る。おふくろが見守っている。そんな、風との遊びは楽しかった。
春になると、こまをちゃぷ台の上で回して遊んだ。そのこまはどんぐりか、しいの実につまようじをさして造ったこまや、手造りの紙のこまだった。幼児期をすぎると、こまはベイごまや、紐をまいて投げて回す市販のこまになった。また、おやじの造った竹馬や、市販の三輪車に乗って遊んだ。なぜか、竹馬と言うと雪の日を思い出す。不思議だ。
おやじの造ってくれた竹とんぼを、一緒に原っぱで飛ばしたが、その後、大人になってから、竹とんぼのように空を飛ぶ夢をよく見た。
幼児は生活のすべてが遊びだと言われているが、確かに幼児を見ているとそうだと思われる。遊びと言ってもいろいろあり、コンピューターゲームの一人遊び、ままごとなどの仲間遊びがある。しかし親が子どもの見ているそばで造り上げていく玩具、子どもは何ができるかと目をまるくしている。その玩具で親と遊ぶ時、子どもの心の成長の中に温かい何かが生まれ育っていくような気がする。

「少年版・こどものとも206号〈5〉くるくるまわる 折り込みふろく1994″絵本の楽しみ”」より

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